トピックス01
難聴と認知症発症の関係性を追跡した調査によると、難聴の方は聴力が正常な人に対し、約2~5倍、認知症発症リスクが高いことが分かりました。
出典:Lin, F. R., Metter, E. J., O'Brien, R. J., Resnick, S. M., Zonderman, A. B., & Ferrucci, L. (2011). Hearing loss and incident dementia. Archives of neurology, 68(2), 214-220.
トピックス02
難聴になるとすぐに認知症になるわけではありませんが、難聴により周囲からの情報量が減ってしまうと、対人関係や社会生活に消極的になり、結果、認知機能に影響が出る可能性があるといわれています。
出典:(公財)テクノエイド協会 福祉用具シリーズ Vol.19
高齢化が進む日本ですが、すでに高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)が2022年には29%を超え2070年には38.7%になると予想されています。さらに65歳以上の高齢者の認知症の有病率は、2025年には20%、2060年には33.3%に達するとみられています。
2070年には38.7%が高齢者に。
(2.6人に1人が65歳以上に)
2025年には65歳以上の5人に1人が、
2060年には3人に1人が認知症に。
出典:内閣府のデータにより。令和5年版高齢社会白書、平成29年 高齢社会白書
補聴器使用歴のない難聴者を対象に、補聴器導入前および使用6ヶ月後の比較を行った結果、聞こえにくさに理解があるはずの家族・親族とのコミュニケーションにすら難聴者は支障を感じており、補聴器装用が家族・親族との関係性によい変化をもたらした可能性があることが分かりました。
出典:内田ら(2021). プロダクティブ・エイジング(生産的高齢化)社会の実現に向けた難聴者への補聴器導入―補聴器を始めたシニアの変化.
日耳鼻 124: 1452-1456
加齢性難聴は徐々に
進行することが多く
自分では気づきにくいことも。
「最近聞き返しが多い?」と家族に確認することで自身の
難聴進行度を把握できます。
聞き取りにくい場合、
ご家族の方にはゆっくり、
はっきり、区切って話してもらうようにしましょう。
初めて耳鼻咽喉科や
補聴器販売店に行く場合は
ご家族の方と一緒に行くことをおすすめします
補聴器使用者の97%が補聴器の使用により
生活の質が
改善したと回答
補聴器使用者の77%が安心して
街中を歩けるように
なったと回答
補聴器の満足度ベスト3が●1対1での会話
●家族との団らん
●子供と話すとき
出典:一般社団法人 日本補聴器工業会 JapanTrak 2022 調査報告書
最新の研究結果(2023年)
米国における難聴の高齢者の認知機能低下を軽減するための
聴覚ケアと健康指導
世界的医学雑誌ランセット誌
に掲載
認知機能低下のリスクが高い高齢者グループでは、
補聴器装用などの聴覚ケアにより3年間の認知機能の低下が抑制された可能性がある。
出典:Lin, F.R., Pike, J.R., Albert, M.S., et al. (2023). Hearing intervention versus health education control to reduce cognitive decline in older
adults with hearing loss in the USA (ACHIEVE): a multicentre, randomised controlled trial. Lancet (London, England), S0140-6736(23)01406-X.
オーストラリアにおける難聴の高齢者の
認知機能に関する3年間の追跡調査
補聴器装用による聴覚ケアは認知機能の低下を遅らせる可能性がある。
出典:Sarant, J., et al. (2023). Cognitive Function in Older Adults with Hearing Loss: Outcomes for treated vs untreated groups at 3-year
follow-up [Conference presentation]. AAIC 2023 Conference, Amsterdam, Netherlands.